最新の技術で触る/触らない

とあるターミナル駅。いわゆる「駅ナカ」のパン屋で会計したときのこと。「ここにトレイを置いてください。」と示された場所は、ライトボックスのように天板の裏側から光が当てられている。傍らには柱状の装置が佇立し、全体は穏やかな白色で統一されているけれど、何やら物々しい。軽い電子音の後、手前の液晶画面に表示されたのは、真上からトレイを写した画像。私が選んだパンの輪郭が赤や青の線で縁取られている。数秒後、各商品名とその金額が表示されて、最後に合計金額が伝えられる。支払いの現金は、液晶画面下の投入口から。おつりも自動的に出てくる。店員が現金及びレジに一切触れないで済むことの驚き。近未来的な光景であった。以前ほかの店で、両手にゴム手袋をした店員が硬貨を受け取った手でパンを袋詰めしている場面を目撃したとき、「一体彼女は何から何を守っているのだろう」と疑問を抱いたことを思い出す。

パン屋の前に寄った書店の会計も非常に興味深かった。クレジットカードで精算したのだけど、暗証番号ボタンではなく、専用の液晶端末の画面にスタイラスペンでの署名を求められた。特に気にせず署名をしてしまったが、何か嫌な感じ。署名は、その筆触の「掛替えの無さ」が肝なのに、これではいくらでもコピー出来てしまうような気がする。どうなのでしょう。