曲線(宮城県仙台市青葉区)

仙台本屋時間 / 前野久美子企画・編集(Biblantern , 2021.3)

わたしたち、言葉になって帰ってくる / 福田尚代著(福田尚代 , 2020.3)

 

この「曲線」という変わった名前の書店を見つけたのは、ニュースアプリに掲載されていた「仙台まちぷら」というメディアの書評記事です。タイトルは「【おうちで読書】仙台の本屋さんを巡りたくなる!『仙台本屋時間』」。あまり知らない土地の書店事情というのも興味深いものです。この記事には、オンライン販売を行っている書店名のリストも載っていたので、何とも変わった名前のこの店で購入することにしました。

そういえばちょうど10年前、まだ強い余震が続くなか、仙台の街を歩きました。確か5月3日。広瀬川に架かる橋のたもとで倒れた石碑。宮城県美術館の佐藤忠良。新緑が映えるせんだいメディアテーク。でも何故か書店の印象は無いのです。

「仙台まちぷら」の記事(https://matipura.com/plan/85625/)

曲線(https://kyoku-sen.com/)

 

まず、この店の品揃えが素晴らしい。新刊書と古書の両方を扱うという、これから増えていくであろう営業形態のため、店主が売りたいものがとてもよく分かる。困ったことに僕はちょうどオスカー・ニーマイヤーのことを考えていたし、『アウステルリッツ』もう一度読みたいし、工芸の本は積極的に集めたいと思っているし。でもこの店は、オンラインで一遍にたくさん買う店ではないような気がします。

 

郵便局の「クリックポスト」で届きました。封をするテープはオリジナルのもの。五線譜を思わせます。

 

納品書とショップカード、それらが入っていた封筒。

 

『仙台本屋時間』は、この綴じ糸が露出する形態のもの。読み始めたころは、すごく開くページと開きにくいページがあって困りましたが、しばらくしたら落ち着いてきました。でも何度かバッグに入れて持ち歩いていたため、角がめくれ始めています。なかに「曲線」の素敵な外観と店内の一部の写真が掲載されていました。築120年を越える古民家とのことです。

『わたしたち、言葉になって帰ってくる』は、美術家・福田尚代による回文作品集。逆さにすると違う相が現れる緻密な彫刻のようで、読んでいて少し気が遠くなる。素晴らしい。